白いパスタ

エッセイ

小さいころ、私はスパゲッティ(今でいうパスタ)というものはオレンジ色だと思っていました。

母が作るスパゲッティは豚ひき肉と魚肉ソーセージとピーマンが入っていて、ケチャップで味を付けた物でした。

おそらく、テレビか何かで見たナポリタンかミートソースをまねて、家にある材料で作ったらそうなってしまったのだと思います。

最初はおいしいが途中まで食べるとだんだんと重くなって飽きてくる。

母は手の込んだ料理がきらいでした。
今でも晩御飯を作るのが一番面倒くさくていやだと言ってます。

材料を切って混ぜるものはほとんど作らないのですが、ポテトサラダは面倒ではないのかよく作ってくれます。

そして、母が色々混ぜて作る料理にはだいたい魚肉ソーセージが入っているのです。

普段、母の作る献立は、ほうれん草のお浸し、焼き肉、鍋、刺身、焼き魚など、だいたい単品かワンプレートか鍋一つでできるものばかりでした。

切るだけ。焼くだけ。煮るだけ。

本人は素材の味を最大限に生かしているのだと言っています。

そんな食生活をしていたので、私はスパゲッティ(パスタ)とはオレンジ色のものだと思っていたのです。そしてその中でも、ソーセージの入っているものがナポリタンと思いこんでいました。

高校生のころ、下校時に何故かどうしてもおなかがすいて一人でレストランに入ったことがありました。
いつもナポリタンを食べている(と思っている)ので、今回は違うものを食べようと「ペペロンチーノ」なるものを注文してみました。

運ばれてきたそれは、白い。しかも、具がほとんどない。

あれ?
ソースは別盛?
具はいつ運ばれてくるのかな?

何かおかしいけど、店員さんに質問する勇気がなかったので、とにかく一緒に運ばれてきたタバスコを麺がオレンジになるのを目指してすこぶるかけました。

薄~くオレンジになったころ、食べたら辛くて辛くて…。

涙目になりながら食べました。

そんなことを確か、隣のおじさんに話したところ、「世の中には白いパスタもあって、オレンジじゃなくてもちゃんと味がする。」と教えてもらったのです。

一人暮らしをして喫茶店でアルバイトをすることになった時、またしても白いパスタに遭遇しました。

それは、オリーブオイルとニンニクにベーコンとホウレン草と山菜をベシャメルソースで絡めたパスタでした。

食べてみたら母が作るオレンジのパスタとは全く別物で、びっくりするほどおいしかった。

これが、本当のパスタというものなのか。

今ではいろんなパスタの味にすっかり慣れてしまった私ですが、でも時々無性にあの豚ひき肉と魚肉ソーセージの重たいスパゲッティを2~3口だけ食べたくなるのです。

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