白神こだま酵母と出会う:太古の声に耳をすますパンづくり

焼き立てのパン エッセイ

忙しい日々の中で、自然の声に耳をすます時間を持てたら——
白神こだま酵母との出会いは、そんな静かな奇跡でした。

白神こだま酵母との出会い

私が初めて白神こだま酵母を知ったのは、古本屋で大塚せつ子さんの『白神こだま酵母のパン作り』という本を見つけた時です。

だいぶ前に刊行された本のようでしたが、「世界遺産・白神山地の恵みの野生酵母」というキャッチフレーズに惹かれて、思わず手に取りました。

冒頭には、こんな言葉が並んでいました。

1.無添加で安心して食べていただけるパンです。
2.ふんわり柔らかく、しっとりしたパンです。
3.自然の甘みでおいしく、香りのよいパンです。
4.賞味期限が長く、弾力が持続します。

そしてぱらぱらとページをめくると、見た目がかわいらしくておいしそうなパンがたくさん!

パンだけではなく、肉まんやケーキ、ピザ、クッキーまで作れるのです。

次男がアトピーもちということもあり、無添加でおいしいものに敏感になっていた私は、すぐにこの本を購入しました。

太古の微生物との出会い

白神こだま酵母の「こだま」は、もののけ姫に出てくる森の精霊のことかな?

と思っていたのですが、発見者の小玉博士の名字と白神に住んでいる森の木霊(こだま)をかけ、さらに広くこだま(山びこ)することを願って命名されたそうです。

1997年 秋田県の小玉健吉工学博士と秋田県総合食品研究所の共同研究によって、白神山地で採取された腐葉土から発見された酵母なんだそう。

およそ8000~9000年ほど前から形成されたといわれる白神山地の原生林に長い間生息してきた微生物でパンが焼けるというのも奇跡的ですが、それを発見したというのがとてつもなくすごい!

しかも、木霊と同じ響きの小玉さんが発見したとはなんとも素敵なお話です。

そして広くこだまするようにとの願いも込められた野生酵母。

そして熱心な研究を重ね、その野生酵母の特徴をつかみ、様々なパンをおいしく作ることに成功した大塚悦子さんの努力にも、深く感動しました。

私は、私の住んでいる県でこのような健康的で美しい酵母が生まれたこと、そして健康的でおいしいパンやお菓子などの形になることが、なんだか誇らしく感じました。

白神山地の微生物の存在にも感謝の気持ちがわいてきて、どうしても白神こだま酵母でパンを焼いてみたくなったのです。

白神山地は秋田県と青森県にまたがる世界自然遺産に指定されている山です。一年の半分を雪に覆われる豪雪地帯で人為的な影響を受けずに多種多様な動植物や微生物が生息しています。

パンづくりの記録:失敗と上達の軌跡

こちらが私が今まで焼いた白神こだま酵母のパンで一番上手に焼けたもの。

一番うまく焼けたパン

本当は下の写真のようなパンになる予定でした。

本の中の写真

これでも一番最初に作った時よりだいぶ上達しました。

最初はこんな感じでした↓ クープの入れ方が下手すぎました。

最初に焼いたパン。クープの入れ方がうまくいかず…

二度目はこんな感じ↓ ちょっと完成形に近づいた気がしませんか?

二度目に焼いたパン

一回目と二回目はカメリアを使いましたが、今回は「銀河のちから」という国産の強力粉を使いました。白神こだま酵母は国産の小麦と相性がいいので、いくらかマシに焼けたのかもしれません。

国産小麦「銀河のちから」と白神こだま酵母ドライ

クープの入れ方ですが、右側はちょっと失敗しました。焼き上がりに差が出ています。

白神こだま酵母の魅力と実感

白神こだま酵母は、卵・牛乳・油脂類が不要で、種起こしもいらず、2〜3時間で焼き上がる無添加パンが作れます。
生地は冷凍保存も可能で、作り置きにも便利。

冷凍保存用にラッピングしたパン

健康的で扱いやすく、そして香りも味もやさしい。
実際に使ってみて、その使いやすさとおいしさを実感しました。

自然の声に耳をすます(引用と共感)

以下、大塚悦子さんの本より抜粋です。

パンに不向きとされていた国産小麦で、種起こしもいらず、ほんの少しの砂糖と塩、白神こだま酵母があれば、イーストフードなどの添加物なしでも、自然な甘さのやわらかいパンを2時間半から3時間で焼き上げることができる。

これもひとえに白神山地を守ってきたからこそ、大自然が私たちに届けてくれた恩恵だと思っています。自然との共存を大切に思うことを、白神こだま酵母から学んだような気がします。私たちは、白神こだま酵母が好む環境を整えることによって、おいしいパンを焼いてもらおうという気持ちを忘れてはならないと思うのです。

素直になって、白神こだま酵母の声に耳をすましてみてください。まだまだ未知なる力をいっぱい持っているはずです。

白神こだま酵母は太古の記憶を持ちながら、21世紀のパンとして私たちの前に出現してくれました。人知の及ばぬ可能性を秘めた白神こだま酵母で、ぜひ体に優しくおいしいパンを焼いてください。

大塚せつこ著「白神こだま酵母でパンを焼く」より

忙しい日々と自然の奇跡

現代社会で暮らす私たちは忙しく、家庭でじっくり手間暇かけてパンを焼く時間などないかもしれません。
添加物や保存料の効いた食べ物に頼らざるを得ない場面も多くあります。

ですが、それによってアトピーなど、現代社会特有の病気が増えてきていることは否定できません。
自然を大切にする心も、どこか古臭い考えのように見えるかもしれません。

でも、自然はずっと時間をかけて、私たちの体や暮らしに必要なものを、そっと作り上げてくれていたのです。
白神こだま酵母もそのひとつ。
この奇跡が、今の私にはとても尊く、素晴らしいことのように感じられます。

白神こだま酵母でパンを焼くことは太古の微生物との共同作業。静かな対話の時間です。

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