母が背骨を骨折したのは、おととしの夏のことだった。
「年をとったら無理がきかなくなる」という言葉の重みを初めて実感した気がする。
年齢とともに、身体は静かに変化していく。それは避けられないことなのだろう。
遺伝の影響もあるかもしれない。
そう思って、私も骨密度の検診を受けようと考えていた。
けれど、日々の雑事に追われて、気づけば一年以上が過ぎていた。
何かと理由をつけては先延ばしにしていたのだ。
ようやく昨年の暮れ、検診を受けた。
秋にはぎっくり腰にもなっていたし、正直、あまり良い結果は期待していなかった。
ところが、思いがけず「骨密度は高め」との診断。
驚きとともに、ふと胸の奥に小さな自信が芽生えた。
特別な運動をしているわけでもない。
おやつも制限なく食べているし、骨に良い食材を意識して摂っているわけでもない。
それでも、医師は「このままの生活を続ければ、90歳になっても元気に過ごせるでしょう」と言ってくれた。
それを聞いて、なんだか未来が少しだけ明るく見えた。
年を重ねても、やりたいことができるかもしれない。
そんな気持ちになったのだ。
心の中でスキップをして診察室を出てしまった。
無理なダイエットは、もうしないでおこうと思う。
今さら痩せても仕方がないし、身体の声に耳を傾けながら、穏やかに暮らしていく方がずっと健やかだ。
あとは、ボケないようにしなくては。
身体だけでなく、心も頭も、ゆっくりと整えていきたい。
骨の声は、案外、静かで力強い。



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